後発企業の類似サービスから自社を「守る」
この記事にたどり着いているということは、あなたは自身の関わっている商品・サービスを伸ばしていきたい、あるいは、何らかの脅威から守りたいと考えているかと思います。
そんなあなたが行うビジネスは少なからずうまくいく可能性が高いでしょう。
しかし、どんなビジネスもある程度の顧客数を獲得し、知名度が上がってくると、「このビジネスは稼げそうだ」と、さまざまな競合企業がハイエナのように群がってきます。
何も対策をしていないと、競合企業たちは自社と似たような商品・サービスを売りはじめ、あなたが本来獲得できたはずの市場を瞬く間に食い荒らすことでしょう。
では、どうしたらいいのでしょうか。
ポイントは「権利化」
やはり強いのは権利化です。
法律で認められた権利を取得することにより、あなたは「自分の権利が侵害された」あるいは「侵害されるおそれがある」として、法律を根拠にして使用の差し止めや、損害が発生した場合は損害賠償を請求することが可能になります。
たとえば、商品・サービスを権利化したい場合はその商品名・サービス名を「商標」として登録することが考えられます。
商品名・サービス名を商標登録して権利化することにより第三者がその商標登録されたものと同様のサービス名を使えないようにすることができます。
実際のケース
例えば、
あなたがあるお菓子「キャラメリ」(どんなお菓子かはご自身でご自由に想像してください)を製造して売っていたとします。
お菓子「キャラメリ」はすぐさま人気が出て、飛ぶように売れました。
しかし、売上をよくみてみると、ある時期を境にあまり売上が伸びなくなっていることがわかりました。
インターネットで「キャラメリ」と検索してみると、どうやら売り上げが伸びなくなった時期と同時期に「キャラメリ」という、自社の「キャラメリ」と同じ名称の、自社のものと違うお菓子が売られ始めていたことがわかりました。
どんなお菓子なのかと試しに他社の「キャラメリ」を買って食べてみたところ、自分たちのものとは似ても似つかないほど美味しくない仕上がりとなっていました。
ふと、SNSに目を向けてみると、自社の「キャラメリ」と他社の「キャラメリ」を混同して「おいしい」「おいしくない」などの情報が拡散されていることがわかりました。
ここであなたは、「キャラメリ」を美味しい仕上がりにするために試行錯誤して苦労した日々や、「キャラメリ」が初めて売れた日、取引先が増えた日、消費者から「美味しかった。また食べたい。」といってもらった日、「たくさんのお金をつかって広告をうった甲斐があった」と、「キャラメリ」の大躍進をチームメンバーで祝った日などを思い出します。
このままでは、広告費用の効果を最大限に活かせていないうえに、お客様の信頼を裏切ることとなってしまうと思ったあなたは、なにか対策はできないかと考えました。
ここで世界は2つに分かれます。
「キャラメリ」を商標登録していた世界と、商標登録していなかった世界です。
―「キャラメリ」を商標登録していた世界
「キャラメリ」の商標登録をしていたあなたは、すぐに顧問弁理士に連絡をし、「キャラメリ」の販売をしている会社に商標侵害についての警告文を送ることができました。こちらの世界では、他社が使用している「キャラメリ」が差し止められるのは時間の問題でしょう。また、他社の「キャラメリ」が販売された時点から自社の売り上げが落ちていたということから、他社が受けた利益を自社の「逸失利益」として請求できる可能性もでてきます。
こちらの場合は、迅速な対応が可能となりますが、商標登録をしていなかった、もう一方の世界はどうでしょうか。
―「キャラメリ」を商標登録していなかった世界
こちらの世界では商標権に基づいて差止請求をすることや、損害を請求することはできません。
もちろんこの場合においても専門家に相談はできますが、「商標権」のような具体的な法的権利を持っているわけではないので、自分の権利を証明するために証拠をあつめたりする段階から行う必要があります。
これにはかなりの手間と時間だけでなく専門家を使う場合はその費用がかかり、さらに証拠を集めいているあいだにも他社の「キャラメリ」はどんどん市場に流通してしまいます。
まとめ
商標登録の効果は商品・サービスが売れてきたときに大いに発揮されます。
売れないことを想定して商品・サービスを生み出す会社はいないでしょう。つまり、どの企業においても商標登録をすべきなのです。
また、質の悪い類似品・模倣品が出てきたときには、経済的な利益のみならず、たくさんのお客様の信頼を失いかねません。
企業は常日頃より、そういった模倣があったタイミングで素早く対応できる体制を整えていく必要があるのです。
そうした“先を見る力”が、この目まぐるしく状況が変わる現代社会においては重要なのではないでしょうか。
まだ商標登録をしていない方は、是非ともご検討ください。
⇒商標権の取得方法