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懲戒請求書は著作物か。東京地裁で判決下る

ニュースの概要

レバノンに逃亡した日産自動車元会長、カルロス・ゴーン被告(67)の弁護人を務めていた高野隆弁護士が、自身のブログで懲戒請求者の実名や懲戒請求書の内容を無断で公開したとして、東京都内の男性がブログ記事の削除などを求めた訴訟の判決が東京地裁でありました。

裁判所は著作権の侵害を認め、高野氏にブログから懲戒請求書の文書ファイルを削除するよう命じました。

懲戒請求書を著作物とした理由

判決において裁判所は、本請求書は『弁護人の関与なしに被告人が逃亡し得るのか』という疑問など、作成者である原告の個性が発揮されており、著作物に該当する」としました。

そして、請求書が公表されておらず、文書全体の引用が必要な事情も認められないとして、「原告の公衆送信権と公表権を侵害した」と結論付けました。

一般的な法律文書の著作物性

今回は懲戒請求の事例でしたが、他の法律文書には著作権が認められるのでしょうか。

例として契約書について見てみましょう。

東京地裁昭和62年5月14日の判決は、「(契約書案の内容は)思想または感情を創作的に表現したものであるとはいえないから、著作物ということはできない」として、契約書案の著作物性を否定しています。

著作権法で保護されるのは創作的表現である以上、「相当特徴ある表現」がなされていない限り著作物性は否定されると理解されています。

(契約書もものによっては個性があるようにも思いますが、)少なくとも契約書と異なり懲戒請求書は個性が認められる、と今回東京地方裁判所は判断したようです。

一審判決なので状況が覆る可能性もあります。今後の動向が注目されます。

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