ニュースの概要
知財業界でも話題の非代替性トークン「NFT」について、注目のニュースです。
シヤチハタは、印影のデータと利用者の情報を結び付けてNFT化することで、偽造のリスクを減らした電子印鑑「NFT印鑑」を開発すると発表しました。サービスの提供形態や時期は未定です。
共同開発
NFT印鑑は 、シヤチハタとケンタウロスワークス、早稲田リーガルコモンズ法律事務所とが共同で開発を行うことが発表されています。
シヤチハタが長年培ってきた電子印鑑に関わるノウハウ、ケンタウロスワークスの持つブロックチェーン技術を取り入れ、早稲田リーガルコモンズ法律事務所の法的知見をもとに、さまざまな電子契約システム間で利用できるサービスを目指しています。
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従来の電子印鑑の問題点
従来の電子印鑑では
- 電子契約では書類に印影が表示されないサービスが多く、書類が締結済みか分からない
- 印影の偽造リスクがある
などの問題点があり、これらの問題点を克服した電子印鑑、つまり
- 押印の痕跡が一目で分かること
- 押印者の本人性を証明する機能を備えていること
をサービス内容として備えていることが求められていました。
NFT印鑑
NFT印鑑は、印影データをNFT化することで、これらの問題を克服するため印鑑保有者の情報と印影情報を結び付けた電子印鑑です。
NFT印鑑が押印された電子文書には、印鑑保有者およびNFT化された印影の情報が刻印され、押印の記録は改ざん困難なブロックチェーンに記録されるため、「いつ、誰が、何に押印したのか」という、証拠を確実に残すことができます。
ブロックチェーンには印影、メールアドレス、押印日時、NFT情報(トークン名、トークンID、所有者)
ブロックチェーン
NFT印鑑において使用されるブロックチェーンプラットフォームは、Japan Contents Blockchain Initiative(JCBI)が管理するコンソーシアムチェーンを予定しているようです。
JCBIが運営する著作権管理用ブロックチェーンプラットフォームについてはこちら
JCBIのプラットフォームはシヤチハタやケンタウロスワークスをはじめとして、電通、朝日新聞など20社が共同管理している自律分散型ブロックチェーンです。NFT印鑑は、押印時に「いつ、誰が、何に電子印鑑を押したか」という情報をこれらのブロックチェーンに記録します。
これにより信頼性・セキュリティが高度に担保されたまま、パフォーマンスを落とさずにサービス展開できることが期待できます。
将来的には、異なる電子契約サービスを使っている当事者同士でもNFT印鑑をAPI連携して使用することが想定されており、企業間だけでなく行政・自治体への展開を想定しているようです。
シヤチハタのクラウド関連の商標
出願番号JPT2020126816
出願日2020-10-13/公開日2020-10-27
配信元 https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2108/18/news102.html