ニュースの概要
食品大手ネスレ(Nestle)のブランド「ネスプレッソ(Nespresso)」のカプセルに対して、商標法の保護対象とは認められないとの判断が下されました。
2011年9月にネスレとネスプレッソ(ネスレの傘下)はエシカル・コーヒー(2018年破産)に対して、ネスプレッソのオリジナルカプセル(アルミニウム製)と類似しているエシカル・コーヒーのコーヒーマシンに対応するエシカル・コーヒー社製オリジナルカプセル(植物性繊維と生分解性のでんぷん製)の販売差し止めを求める訴えをスイス西部ボー州の裁判所に起こしました(ネスレの本社は、スイス西部ボー州ブベイ)。
これを受けて、ボー州の裁判所は販売差し止めの訴えを退ける決定しました。ネスレはこれを不服として連邦最高裁に上訴、最高裁はネスプレッソのカプセルのサイズや円すい部分の角度、上部や容量は同社のコーヒーマシンで最適化されるよう設計されていると指摘し、競合他社がこれらの規格に合わせる必要があり、形に技巧を凝らす余地はあまりないと判断しました。
立体商標
今回は、スイスにおける立体商標の登録可否の問題ですが、日本でも、立体商標について商標法4条1項18号は商品・包装の機能確保に不可欠な立体的形状で、それら商品・包装の立体的形状のみからなる商標を不登録事由と定めています。
その趣旨は、立体商標制度の下でも、商品や包装の立体的形状は、自他商品の識別力がないことにあります。
また、商標は更新すれば永続的に有効にすることができます。そのため、商品・包装の機能確保に不可欠な形状に商標権が成立すると、その永続性のために商品の生産・販売が独占されることになり、自由競争が過度に制限されるおそれがあります。
このような制度趣旨から、日本においても今回の事件と同様の判断がなされる可能性があるといえるでしょう。
出願した商標がいたずらに無効になることを防ぐには、プロの意見を聞くことが必要です。