企業が商品・サービスの競争優位性を確立する手段として、特許を活用した戦略は非常に有効です。ただし出願や調査に多額の費用がかかるため、特許戦略を遂行することは簡単ではありません。
そこで今回は、特許戦略の遂行に役立つ助成金を厳選して4種類紹介します。最初に、地域に限定せず活用できる助成金を1種類、次に、東京都知的財産総合センターが公表している助成金制度を3種類紹介します。
国内企業の海外における特許戦略に役立つ助成金(中小企業等外国出願支援事業)
日本貿易振興機構(ジェトロ)では、海外進出を図る企業に対して、特許戦略に役立つ助成金を提供しています。この機関が運用している助成金は、国内企業であれば原則利用可能なものとなっています。
この章では、海外での特許戦略に活用できる「中小企業等外国出願支援事業」という助成金を紹介します。
制度の概要
海外進出を計画している中小企業に対して、外国における特許等の出願にかかる費用の半額を助成する制度です。
利用条件
下記4つすべての条件を満たす必要があります。
- 日本国内に主たる事業所を有する中小企業者(個人事業主も含む)または、その中小企業者で構成されるグループであること
- 外国特許庁への出願業務を依頼する国内弁理士などの協力を得られる中小企業者、または現地の代理人に直接協力を依頼する場合は同等の書類を提出できる中小企業者であること
- 助成金の支給後に行われるフォローアップ調査に対し、積極的に協力すること
- 暴力団関係企業などの不適当な中小企業者でないこと
助成対象経費
助成対象期間から実績報告書の締切日までのあいだに、発注や契約、実施、支払いが行われた経費(出願量や代理人費用、翻訳費用など)が対象です。
助成率・助成金額
助成率:助成対象経費の2分の1(1,000円未満の端数切り捨て)
助成金額:150万円(特許の場合。1申請あたり)
受付期間
2021年6月21日(月曜)~ 2021年7月21日
※本年度(2021年)は終了していますが、来年度に再度募集される可能性があります。
特許戦略には東京都知的財産総合センターの助成金がおすすめ!
特許戦略に役立つ助成金を探している経営者の方には、東京都知的財産総合センターのサイトがおすすめです。東京都知的財産総合センターは、都内中小企業を対象に、知的財産の保護や活用のサポートを行っている機関です。
東京都知的財産総合センターのサイトを参考にする利点
こちらのサイトをおすすめする最大の理由は、たくさんの助成金制度が用意されている点です。たとえば2021年9月現在では、外国での特許出願や侵害調査、特許調査にかかる費用を助成する制度が用意されています。また、特許以外にも実用新案や意匠、商標の出願等にかかる費用を助成する制度もあります。
そのため、こちらのサイトを随時チェックしておけば、ご自身の企業における特許戦略にとって最適な助成金を見つけることができます。東京都内の中小企業のみが対象となる点がデメリットとなるものの、多種多様な制度が用意されているのでおすすめです。
具体的な助成金制度の例
ここでは、東京都知的財産総合センターのサイトで紹介されている助成金制度を3例紹介します。
外国特許出願費用助成金
制度の概要
中小企業に対して、外国特許出願から中間手続きにかかる費用の一部を助成する補助金です。
利用条件(申込資格)
東京都内の中小企業者(個人事業主を含む)、中小企業団体、一般社団・財団法人であることが主な条件です。
助成対象経費
主に、以下の費用が助成金の対象となります。
- 外国出願の手数料
- 審査請求料・中間手続費用
- 代理人費用
- 翻訳料
- 国際調査手数料
- 国際予備審査手数料
- 先行技術調査費用
助成率・助成金額
助成率:2分の1以内
助成限度額:400万円(出願経費のみの場合は300万円)
受付期間
2021年度の第2回については、9月27日〜10月29日が申請書類の提出期間となっています。
参考:外国特許出願費用助成事業
特許調査費用助成金
制度の概要
開発戦略の策定などを目的として、他社の特許調査を依頼する際にかかる費用の一部を助成する制度です。
利用条件(申込資格)
基本的な条件は外国特許出願費用助成金と同様です。
助成対象経費
助成対象となるのは、他社特許の調査委託にかかる費用です。
助成率・助成金額
助成率:2分の1以内
助成限度額:100万円
受付期間
こちらの助成金は随時受付が行われています。ただし、予算額に達した時点で終了となりますので、早めに申請を行うことがおすすめです。
参考:特許調査費用助成事業
知的財産活用製品化支援助成事業
制度の概要
大企業などが保有する開放特許などの知的財産を活用し、迅速に新製品を開発するためにかかる費用の一部を助成する制度です。
利用条件(申込資格)
こちらの助成金を活用するには、前述した他の助成金と同様の申込資格を満たす必要があります。また、申請時点で東京都中小企業振興公社の「知的財産活用製品化支援事業」の支援対象として支援を受けていることも必須条件です。
詳しい募集要項については、個別に案内が行われます。
助成対象経費
助成対象となるのは、主に下記3つの経費です。
- 共同研究・共同開発契約に関連する費用
- 設計・試作費用
- 機能評価費用
助成率・助成金額
助成率:2分の1以内
助成限度額:500万円
受付期間
こちらの助成金についても、随時受付が行われています。ただし、予算額に達した時点で終了となるため注意が必要です。
まとめ
今回紹介したとおり、特許戦略に役立つ助成金は多岐にわたります。特に東京都に拠点を置く中小企業であれば、東京都知的財産総合センターが提供している助成金がとても役立ちます。
特許戦略に役立つ助成金をお探しの方は、東京都知的財産総合センターのサイトを確認してみましょう。
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