スイスは1国民あたりの特許出願数が多い
人口854万人、国土面積は41,277㎡と、相対的に見てお世辞にも大きいとは言えないスイスがなぜEPO(ヨーロッパ特許庁)への出願件数で1位をとることができるのか。
まず、EPOへの特許出願数は以下の通り発表されており、スイスが2位のスウェーデンに大差をつけてダントツ1位であることが分かる。
その理由は、そもそも出願数が多いことにあるが、なぜスイスは特許出願が多いのだろうか。
人口100万人当たりの特許出願件数:
スイスの特許出願が多い3つの理由
スイスの特許出願数を見ると、ノバルティス、ロシュなどの大手医療・バイオテック企業やABB ( Asea Brown Boveri ) グループ、ネスレなどの大手多国籍企業がスイスを拠点にしている点が伺える。
そういった大企業が大量に特許を出願するのでスイスの特許出願件数が多くなるという背景があると考えられる。
以下の通り、EPOの産業別特許出願件数を見ても、バイオテックやメディカル、電力関係はそもそも特許出願件数自体が多いことが分かるが、これらの分野で大手企業である彼らが特許出願をすることでスイスの特許出願件数が伸びていることが伺える。
なぜ多国籍企業である彼らがスイスに拠点を置くのか。
理由1:多言語国家である
スイスは、ドイツ語、フランス語、イタリア語、ロマンシュ語という4つの公用語を持っています。多言語な環境があるからこそ多国籍企業が拠点を置きやすいという点があるかもしれません。 (参考:swissinfo )
理由2:低い法人税
有名な話ですが、スイスの法人税は世界的に見てかなり低いです。
「スイスの法人税は各州が独自に決めることができる。平均で15%をやや下回り、多くの多国籍企業を引き付けている。」 (引用元:swissinfo )
こういった法人が優遇される背景があるため、多国籍企業はスイスを拠点にしている背景があるといえます。
理由3:大学などの研究開発機関との開発環境
スイスは教育機関のレベルが高いことは有名ですが、研究開発費も世界的に見て上位に位置していることが分かります。
引用元:https://www.mof.go.jp/pri/research/conference/fy2019/jinkou202003_03.pdf
スイス企業の日本での特許出願情報はこちら
ノバルティス社
ロシュ社
まとめ
特許をはじめとする知的財産の出願件数は、その国がどれだけイノベーションを起こす企業にとって拠点にし易い環境かということが重要であるように読み取れます。
海外拠点を検討する際や、海外との取引を検討する際にはこういった国の環境を検討材料にしてみてはいかがでしょうか。