ニュースの概要
著作権法を改正する法案が2021年5月の参議院本会議で可決され、成立しました。
公布から２年以内に施行が予定されており、以下の改正の内容は数年以内に反映される見込みです。
改正の要点
今回の改正の要点は主に２点です。
テレビ番組のネット同時配信対応
現行の著作権法では同一のコンテンツをテレビ配信するときとネット配信するときでそれぞれ別個に権利者の許諾を得る必要があるので、ネットで同時配信を行うためには非常に煩雑な手続が必要でした。
今回の改正では２条１項に「放送同時配信等」を加えたうえで、63条で放送について権利の許諾を行った場合「放送同時配信等」についても同様の許諾を行ったことを推定する規定が設けられました。
これにより各種コンテンツについて、別個に権利の許諾を得ることなくテレビ局が放送と同時に番組を配信することが可能となりました。
図書館の蔵書のデータ閲覧
現在、国立国会図書館では絶版の本などを各地の図書館に向けてメール送信するサービスを行っています。これらのサービスは私的複製などと同様に、著作物でも自由に行うことができる「複製(31条1項柱書)」に当たります。
今回は31条4項などを新設することでその範囲を広げ、一般の閲覧者にも絶版本の内容についてメール・ファックス送信ができるようになりました。 国会図書館では来年６月までをめどに実際のサービスとして開始する予定です。
法律の改正が与える影響は
今回の著作権法の改正は、実際の利用者のレベルで影響が大きいものになります。概ね利用者の利便性を図る方に強い影響を及ぼすものとなりそうですが、法律の動向は常にチェックする必要がありそうです。
