ニュースの概要
アメリカのウォルト・ディズニーの子会社であるマーベル・スタジオがアイアンマン、スパイダーマン、マイティ・ソーなどの自社ヒーローキャラクターの原作者遺族に対して、所有権確認訴訟を提起しました。
経緯
1962年 マーベルコミックにスパイダーマンが初登場
スティーヴ・ディッコがスタン・リーと共に原作者
2021年8月 スティーヴ・ディッコの遺族が著作権法※1を基にスパイダーマンなどの
ライセンス契約解約告知を裁判所に提出
遺族が権利移転をマーベル側に通知
ディッコの遺族につづき他の原作者遺族らが一斉に同様の解約告知を提出
※1アメリカの著作権法(1976年制定)は、一定の保護期間を過ぎたら原作者または相続人がキャラクターの著作権を所有する出版社から権利を取り戻すことが出来る、と定める
2023年6月 通知によりマーベル側はスパイダーマンの権利を放棄しなければならない
→マーベルはアイアンマン、スパイダーマン、マイティ・ソーなどの自社ヒーローキャラクターの著作権を守るために、これらキャラクターの原作者遺族に対し、所有権確認訴訟を提起しました。
[原作者遺族の主張]
各々が創出したキャラクターを使用した映画シリーズで莫大な利益を得たマーベル・スタジオは、遺族に収益を分配してしかるべき
[マーベルの反論]
・「職務著作物※2」の考えに基づき、雇用主の命令により業務の一環で従業員が著作物を作成した場合、著作者は従業員個人ではなく雇用主
・本件では、マーベル社が所有する著作者であるので、著作権移転の対象にはあたらない
※2「職務著作物」とは、ⅰ雇用関係にある従業員が職務上創作した作品か、またはⅱ創作者が雇用関係になくとも、契約にその旨が明記されている作品のことです。著作権者は雇用者(委託者)になります。
→マーベル敗訴の場合
マーベルがキャラクターの独占権を手放し、原作者遺族らと権利を共有しなければなりません。
→マーベル勝訴の場合
今後もマーベルが権利を全面的に管理できます。
過去の判決
2012年「ゴーストライダー」の権利をめぐる訴訟で、マーベルはキャラクターの権利を保有する勝訴判決を得ました。
マーベルは「マーベル・メソッド」という新しいキャラクターを創作する際に、複数人のライターやアーティストが協力しながら作業する手法を採用していることを主張しました。
過去にもマーベルと著作権を巡る訴訟は起きており、マーベルは勝訴も敗訴もしています。