ニュースの概要
YouTube上の字幕を無断転載した行為が著作権を侵害するかどうかが争われた訴訟で、大阪地裁は「字幕は言語の著作物※」と認定し、転載行為が著作権侵害であることを認める判断を示しました。
※言語の著作物
言語の著作物とはその名の通り言語により表現された著作物を言います。小説、脚本、論文、講演などが該当します。
訴訟の事実関係は?
(▶判決文はこちら)
令和2年6月5日にYouTubeチャンネル「感動アニマルズ」にて「幼いライオンを救った男性。野生に戻した1年後の再会に涙が溢れる【感動】」という動画が投稿されました。
その後、令和2年7月27日にWebサイト「人生を楽しむブログメディア|楽蔵20 -raku-zo-【らくぞー/ラクゾー】」に投稿された記事
「幼い子ライオンを救った男性。野生に戻した1年後の再会結果は!?」が動画のテロップ中の表現を使用しており、Youtubeチャンネル側がブログ投稿用サーバーの保有会社を相手取り、著作権侵害を理由とするブログの発信者情報開示請求を行いました。
動画テロップは著作権侵害か?
<原告の主張>
男性2名と野生のライオンとのエピソードに関し、出来事や登場人物の感情等について、原告独自の形容や叙述方法で表現されたもので、原告の個性が発揮され、原告の思想又は感情を創作的に表現した言語の著作物である。
<被告の主張>
閲覧者の理解を助ける程度の簡潔な表現で、既存のストーリーに沿って映像の内容を説明しているものに過ぎない。本件テロップは著作物とはいえない。
↓
<裁判所の判断>
スライドショー・BGMのみではストーリー性が乏しく、本件動画の内容を正しく把握することは困難と評価し、本件テロップ…は、その余の構成部分に比して動画の中で重要な役割を担うものといえます。テロップ作成者の思想及び感情を創作的に表現したものであり、言語の著作物である。
このように、本件ブログはYouTubeテロップの著作権(複製権又は翻案権)侵害となると結論付けました。
そのうえで原告「感動アニマルズ」が、著作権侵害を理由とした不法行為に基づく損害賠償請求をする権利行使のために、発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるとして、原告の請求を認めました。
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