ニュースの概要
三菱ケミカルは、同社がもつバイオマス原料由来ポリエステルに係る基本特許を含む関連特許について、クラレおよびクラレトレーディングとライセンス契約を締結したと発表しました。
「儲かる」ライセンス
今回の事例のようなライセンスやオープンイノベーション、パテントプールといった数者間での知財活用が日本ではライセンスの供与によってビジネスを成り立たせている例はあまり多くはありませんが、アメリカでは特許のライセンスで生計を立てている人々がいます。
例えば、一つの発明をきっかけとするベンチャー企業を500億円で売却した利益を中心として、特許で780億円のライセンス料・特許売却益を得た大学教授もいます。
日本でも研究開発を専門としていない主婦が洗濯機の糸くずネットの発明で特許を取り、約3億円のライセンス収入を得た事例があります。小学生の発明をライセンスする事例も徐々に聞かれるようになりました。
もちろん、全ての特許がライセンスによりマネタイズできるわけではなく、特許そのものまたはその技術を実用化した製品にライセンス需要があることが当然必要となります。
自分自身で特許を取得しライセンス収入を目指すか、ライセンス可能性のある特許を探し出し、当該特許を持つ会社に投資するという形でマネタイズする方法もあります。
発明のタネや、ライセンスに繋がりそうな特許を保有する会社をTokkyo.Aiの特許検索エンジンで調べてみてはいかがでしょうか。
知財のウマい活用法についての記事はこちら
「ライセンス」
特許のライセンス(実施の許諾)とは、特許権者が、特許発明を自ら実施するのではなく、他の者に対して特許発明を実施する権原を与えることをいいます。
特許法は、特許のライセンスについて、専用実施権(特許法77条)と通常実施権(特許法78条)という2種類の実施権制度を用意しています。
専用実施権とは、ライセンシー(専用実施権者)が、独占的に特許発明を実施することができる権利(特許法77条2項)で、特許権者であっても同時に特許発明を実施できません。
他方、通常実施権とは、ライセンシー(通常実施権者)が独占性なく特許発明を実施することができる権利です(特許法78条2項)ので、同時に特許権者も発明実施をすることができます。
二つのライセンスを事案によって適切に使い分け、十全に知財活用を行ってください。