ニュースの概要
原田工業株式会社が株式会社ヨコオに対して提起していた知財侵害訴訟について、最高裁は上告を不受理としました。これにより原田工業の主張を退けた一審判決が確定しました。
ヨコオと原田工業の知財訴訟
今回原田工業が提起した訴訟の他にも、ヨコオと原田工業の間には2012年ころから複数の知財訴訟を行っていました。
今回は2018年2月に原田工業がヨコオを相手どって提起した特許(特許第5237617号)の侵害訴訟についての訴訟です。2018年4月に提起された特許第5213250号に関する訴訟については知財高裁にてヨコオの請求を認めない判決が出されており、今回の判決をもって特許紛争が解決したとは必ずしも言えないでしょう。
経営に与えるインパクトは?
過去、この両当事者の訴訟では実際に差止めの判決も出されており、実際の流通へのインパクトが大きい事例もありました。今回は特許侵害訴訟の取り下げの確定なので、商品の差し止めがなされるなど流通に与える事実レベルのインパクトがあるわけではありません。
もっとも、今回の決定が両者の経営へ与えるインパクト(両社とも影響がない旨発表済み)は未知数ですので慎重な判断が必要です。
一般論として特許侵害に関係する訴訟は企業やその事業に大きな影響を与えます。
故意による侵害はともかくとして調査不足による侵害から訴訟に発展するといった形は当然ながらなるべく回避するのが無難です。近年知財侵害に基づく損害賠償訴訟についてはその賠償額が高額化していることもあり、知財の重要性や経営に与える影響がより大きくなっており、経営者も知財の動向に注視した動きが求められます。