草野大悟氏 プロフィール:
2013年に上智大学大学院物理学領域を修了して富士ゼロックス株式会社に入社し、ソフト・メカ・化学の様々な分野の特許業務(調査・出願・戦略立案等)を経験。
2016年に独立し株式会社パテントインベストメントを設立。現在、知財コンサルおよび災害・遭難救助要請用ドローンの開発を行っている
高石秀樹氏 プロフィール:
東京工業大学大学院理工学研究科精密機械工学専攻を修了し、2002年に中村合同特許法律事務所入所。
2010年 デューク大学ロースクール 法学修士(LL.M.)、2011年 Morrison Foerster LLP研修勤務を経て米国カリフォルニア州弁護士登録。同年米国パテント・エージェント試験合格。
2014年より中村合同特許法律事務所パートナー弁護士・弁理士として特許法・商標法・意匠法等の産業財産法;不正競争防止法、著作権法、独占禁止法、ライセンス・共同開発・開発委託等に係る契約法;企業法務一般等;知的財産法;国際取引法に関する業務を取り扱っている。
知財との出会い・現在の業務内容
― お二人の知的財産との出会いと現在の業務を教えてください。
高石:父親が弁理士であることもあり、もともと知的財産は身近な存在でした。将来の仕事として知財を明確に意識したのは、大学4年生のときに将来のキャリアを考えて、特許を扱う弁護士になろうと考え、司法試験の勉強をはじめた頃です。ちなみに、大学も大学院も東京工業大学で理系の専攻でした。
実際に特許関係の実務に関わったのは弁護士になってからで、現在は、特許を中心とする知的財産の裁判(侵害訴訟、審決取消訴訟)、意見書作成、法律相談、特許クレーム文言及び明細書の検討、価値評価、これらに伴うブレインストーミングを業務として行っています。スタートアップとご一緒するときは、特許を含めた事業戦略についてのブレインストーミングも行います。
草野:私が知財に関わったのは偶然というところが大きかったです。物理学領域の大学院で研究を行っていて、就職活動のときもメーカーの研究開発部門を志望していました。
しかし、就職活動は思ったように進まず、残念ながら志望企業の研究開発部門へ入ることができませんでした。
そうこうしているうちに、ふと、富士ゼロックスの知財部門での採用案内メールが目に留まりました。それが知財との出会いでした。ES提出まで1週間くらいしかなく、しかも知財のことを全く知らなかったので、そこで知財のことを一生懸命調べて、何とか応募ができ、内定をいただくことができました。
入社後、社内研修で知財に関するライセンスや知財法務、出願・権利化、中間処理、特許調査など知財に関する一通りを教わり、その後本格的に知財の仕事に関わることとなりました。
― 研修ですか。高石先生も研修などがありましたか?
高石:私は順番にというわけではなく、いきなり初日から裁判チームに入りました。OJTです。
もっとも、最初は証拠整理など新人でもできる業務をこなしながら、先輩の書面をみて勉強しました。先輩からは、「判決のような書面を書く」べきと教わりましたが、その意味を真に理解できたのは2年くらい知財実務を行い、ある程度の量の準備書面と判決文を見た後でした。
思い出に残った出来事
― 知的財産に関する業務や取組みで記憶に残った出来事を教えてください
高石:主たる業務は裁判ですが、侵害訴訟も審決取消訴訟も多数経験しました。重大事案は和解で終了することが多く、守秘義務があるので具体的にお話しできないのが残念です。それ以外では、一番の思い出は留学ですね。2年間アメリカに行き、ロースクールに1年、ローファームに1年いました。
アメリカでの2年間で、逆にというのも変ですが、日本の文化や法律・裁判が相対的によくわかりました。アメリカでの経験や身に付けたことが日本に帰国後の実務に活きています。
― 具体的にはどのようなことでしょうか?
高石:日本とアメリカの法制度及び実務の違いを間近で見て、日本の特徴的な部分が分かったと感じました。その中の一つに裁判例の蓄積をどのように取り扱うかという点があります。
アメリカは判例法主義で、日本は成文法主義という形になっていますが、日本においても、知的財産権訴訟が増加した結果、裁判例が蓄積していますので、先例がどのように判断したかの影響が大きくなってきていると感じます。
その考えのもと執筆したのが『特許裁判例事典』シリーズ(著:高石秀樹)です。
先例重視の傾向は知財分野に限定されるものではなく、どの分野も同じではないかと感じています。ですから、仮に私が税務専門弁護士になっていたら、税務裁判例事典を執筆したでしょう。
― 草野さんはどのような業務が記憶に残っていますか?
草野:ある新規事業立ち上げのプロジェクトで、自分のアイデアが採用されビジネスが大きく動いたという経験ですね。
ざっくりと「こういうビジネスがやりたい」という相談が持ち込まれたところから始まり、自分がメインで担当した案件でした。その分野には1社かなり強い競合がいて、まずはその企業の特許を炙り出して、自分たちのやろうとしている新規事業がそこの特許を侵害しないためにはどのようにしたらいいかということを弁護士と一緒に考えていました。
最終的に、うまく他社特許の権利範囲を回避したうえで、自分たちのアイデアをどのようにビジネスに実装していくかというフェーズまで携わりました。
そこで自分の出した案をもとに特許も出願することになったのですが、結果としてかなり広い範囲で取得できました。更にその案がプロダクトとしてしっかり形になりました。
ゼロから事業を立ち上げ、他社の特許を分析し、他社特許の侵害を回避しながら自社の特許を広い権利範囲で取得するという経験ができた記憶に残るプロジェクトでした。
― アイデアはどのように出てきましたか?
草野:他社の調査をしつつ、ブレストを行ったことにより自分たちのアイデアがでてきました。
漠然とした相談の状態から戦略やアイデアを提案するということはやりがいがありました。
― プロジェクトの話がでましたが、弁護士・弁理士である高石先生はどのようにプロジェクトに関わるのでしょうか?
高石:私がプロジェクトに関わるのは、多くは紛争が顕在化しているか、少なくとも潜在的な紛争を把握している段階であり、裁判か、裁判に至る前の侵害・無効意見、回避案検討等が中心です。最近は、係争案件により培われた経験を反映して、一部の依頼者に向けて、特許出願段階で最近増えている分割出願や諸外国移行を念頭においた優先基礎出願明細書を提案もしています。VCが絡んでいる場合には、特許価値評価も行います。その前のプロジェクトを立ち上げるシード段階への関与も興味がありますが、その段階で弁護士に相談することは稀であり、なかなか関わる機会がないです。相談があれば関わらせていただきたいです(笑) 。
特許明細書についての話を少しすると、特許を取りやすい明細書というのと、得をする明細書は書き方が異なるので、最初の特許出願時から柔軟な明細書を作成し、出願後に如何様にも補正・分割・訂正・優先権主張が可能となる優先基礎出願明細書を追求するという姿勢は重要であると思います。
異業種の2人が共同インタビューをすることとなった理由は「映画」
― さて、お二人が共同でインタビューを受けていただくきっかけとなった映画についてお話を伺いたいと思います。
草野:きっかけは4年前に遡ります。
私はもともと、動画の方が知財の勉強のハードルが低いだろうと考え、2018年の夏頃に知財系の解説動画を投稿するYouTubeチャンネルをはじめました。2021年の初め頃、動画編集をしてくださっていた今回の映画の監督と話をしていたとき、監督が元々アクション俳優や映画の主演などをやっていたこともあり、流れで「ドローンを使って撮影をしてみようか」という話が出ました。せっかくなので殺陣を撮ってみようと話になり、軽いノリで撮影してみました(笑)。そうしたところ、思った以上にいい具合に撮れたので、更に知的財産と組み合わせて何かできないかと考え思いついたのが、今回の映画の元となった動画です。
殺陣で使う「剣」と、特許権や商標権の「権」をもじった知的財産剣の企画で動画を撮ってみたのが始まりでしたね。第一弾はYouTube動画で、特許に絡めた技を使う特許剣流の剣士と商標に絡めた技を使う商標剣流の剣士が戦う映像を制作してみたところ、ご好評をいただき、第二作目を作成、その後第三作目で映画を撮影する話になりました。
【特許剣vs商標剣】
【意匠剣&著作剣VSパクリーマン】
― 動画から映画となると、ステップが大きいように感じますが、当時の心境はどのようなものでしたか?
草野:僕も最初はいきなり映画を撮るという発想はありませんでした。ですが、高石先生をはじめいろいろな方にお話を伺っているうちに、これは各所に刺さりそうで大々的にやるべき作品だなと感じました。アイデアとして一番刺さっていたのは、何よりもそもそも「知財を映画にする」というポイントでした。こういったジャンルが今までなかったこともあって、面白いと言っていただけました。あとは、やはり異分野の組み合わせは面白いですよね。殺陣と知財ですから、普通組み合わせないです(笑)。
元々、異なる分野を掛け合わせることでイノベーションが起こるというマインド自体は知財分野での仕事をしているなかで自然と身に付いていましたから、それが活きたんでしょうね。
アイデアといえば、キャラクターのネーミングも知的財産に関わる文言からそれをオマージュしてつけていますので、それも楽しめるかもしれません。ちなみに、登場するキャラクターのうち、敵として出てくるキャラクターは、知的財産の侵害に関わる文言からとっています(笑)。
侵害の逆で「ガイシン」、パクりからとった「パクソ」や不正からとった「フセー」などですね(笑)。
― 高石先生が「知的財産剣」に参加したきっかけは何でしたか?
高石:もともと草野さんとはSNSを通じて知り合いでした。というのは、当時YouTubeで知財系の動画を積極的に投稿しているのが草野さんしかいませんでしたので、草野さんはこの業界では有名人でした。
最初はお会いしたときは単に雑談してランチ食べただけでしたかね(笑)。
その後も交流をしていて、出会って1年経ったころに「映画を撮る」という話を聞きました。最初に構想を聞いたときに、「これは映画でしょう」という感想を持ちました。「映画だから映画館でやったほうがいい」と感じました。
今回の映画では、私も弁護士役として参加しました。弁護士・弁理士という堅い世界で生きてきたので、エンタメとは程遠く、プロの役者さんが目の前に現れるだけでテンションが上がってしまいましたね(笑)。
撮影現場に参加して思ったのは、「プロの役者さんが目の前で実際に演じている」状況はものすごい迫力だったということです。
プロの役者さんの役作りを目の前で見たのも新鮮でした。プロの方は休憩中もものすごく集中してセリフの練習をしたり、気持ちを入れたりしていて、とても話しかけられるような雰囲気ではありませんでした(笑)。
私個人としては、草野さんのアイデア「殺陣と知財という異業種の掛け合わせ」といった以外に、そういった「役者さんの舞台裏」も楽しませていただいた良い経験となったとともに、異なる業界のプロフェッショナリティに触れることは、士業としてのプロフェッショナリティに対する良い影響もあると思いますので、弁護士や弁理士の業界団体を通じた研修会を開催したりしています。
― 映画の概要について教えてください。
草野:今回の映画の舞台は、「知的財産村」という村です。ちなみに無人島風のキャンプ場を貸し切って撮影をしました。
村人たちが暮らしているところに、ある時、海賊が攻めてくるというところから物語は始まります。
海賊たちは最初、知財の価値をわかっていないんですが、だんだんとその価値に気が付いてくる。知的財産村の村人たちは、それに対抗するために「特許剣」「意匠剣」などの「知的財産剣」を駆使して対抗するというストーリーになります。
【映画の予告動画】
― アピールポイントはどのような点ですか?
草野:知的財産権の知識がゼロでも楽しめるという点です。
知財を全く知らない方も楽しみながら知財を学ぶことができるようにという意図で脚本を練っているので、どなたでも楽しんでいただけます。
そして、もう一点は斬新さです。今までなかった知財×映画という新ジャンルを楽しんでいただけたらと思います。
高石:先日試写会を観たのですが、私が感じたのはまったく遊び・無駄がないということでした。50分間必要なシーンのみで、「このシーンいらなくない?」というような場面がなかったですね。スピード感が非常によく、展開がどんどん進んでいって目が離せないなと感じました。
あとは予告編の映像にも監督のプロフェッショナリティが詰まっています。1分の予告編のなかに「ハテナ」がいっぱい仕込まれています。しかも、その「ハテナ」を映画本編で全部解決してくれる。その点も、監督の構成力であると思います。弁理士会の研修では、監督がリハの動画と本番の動画を見せて、編集を念頭に置いたカメラの位置を事前に決めておき、本番のイメージが撮影前から出来ているという準備力にも感銘を受けました。我々士業も、準備書面、裁判期日前の準備が重要であることと通ずると感じました。
― 制作時・撮影時のエピソードを教えてください
草野:とにかく雨に悩まされました。最初は雨の予報じゃなかったんですが、土砂降りになってしまいまして・・・天気との闘いでした。途中、雨がひどすぎて3時間以上テントで待機している間は、「撮影中止」が何度も頭をよぎるところまで追いつめられていました。
1泊2日ですべて撮りきるために場所を借りてやっていたので、スケジュールもかなりタイトで・・・結果として、そのあたりはうまく予定を変更して、撮影の順番を変更したり、必要性が高くないシーンをカットしたりして、撮影をしてなんとかなりました。撮影終了30分後ぐらいからまた雨が降り始めて、しかも相当な土砂降りで、雨が降るのがあと30分早かったら終わりだったので肝を冷やしましたね。
高石:印象に残ったのが、傘をさしたシーンの撮影でした。最初から雨のシーンだったわけではなく雨が降ったから成り行き上そうなったものですが、登場人物が傘をさしていても矛盾しないようにストーリーが組み替えられていて、そういった対応力にもプロの技術を感じました。最初から雨が降ることも想定していた準備力の賜物ですね。
草野:設定が現代なので、さしている傘は番傘などではなくビニール傘なんですよ(笑)。そういったこだわりも楽しめるポイントだと思います。
知財のこれから
ー (映画も含めて、)知的財産の認知を広めていくための施策についてお考えをお聞かせください。
草野:業界内外を両方巻き込むということが重要だと思います。メディアでも企業でも政府でもなんでも大規模に巻き込んでいこうと考えています。映画は既に次回作の構想もあり、外国も絡めてスケールを大きく展開することを狙っています。
あとは、講演活動もやっていきたいですね。知財映画・映像の上映会と講演とをセットにして、大学などで教育の一環としてイベントを実施することも考えています。
発信は切り口が大事だと思います。それは意義でも斬新さでもいいし、他の人とコラボするのでもいいと思いますが、常に受け手を飽きさせないものを発信したいと思います。
高石:草野さんは一番高い視座からすべての分野の方々と繋がり、発信し、その先の人までリーチしていく立場です。
私はその中の一人で、弁護士・弁理士という業界にリーチする窓口的な役割に留まります。そして、本映画は、特許庁が「商標拳」という動画を制作しましたが、それと通ずるものがあると思います。知財の認知というよりは、日本の知財の価値を高めていくことを目指しています。
草野:前提として、業界内には当然刺さらないといけないですね。
高石:そうですね。私個人としては、弁護士・高石秀樹の特許チャンネルというYouTubeチャンネルをやっています。私のチャンネルは、特許に関するマニアックかつ最先端を目指していて、誰もが見たいというものではありません。それでも良いと思って発信しています。
最近だと「得する優先基礎出願明細書」という観点からの5分の動画がありますので興味がある方は見て下さい。
― 知的財産の認知を広げた先の世界についてどのようなビジョンをお持ちですか?
草野:認知を広げながらやっていることですが、創造・保護・活用という知的創造サイクルを回すことが重要と思っています。これらがビジネスの中に自然と溶け込んでいくことで知財の価値を促進していき、さらにまたビジネスと絡むことで、その先に大きな価値を生みだせると考えています。
中小企業・スタートアップが知財を活かして大企業にバイアウトしていくみたいな形やオープンイノベーションを積極的に行う形もありますし、企業規模を問わず、今後はビジネスで知財をフル活用できるようになるのではないかと思います。ですので、知財単体で考えるのではなく、知財がビジネスや経済に溶け込んでおり、これらと同時に知財を考えることが当たり前だという世の中にしていくために活動していきます。そのためにはまずは自分自身がビジネスや経済という視点で物事を考え、実業家として大きな結果を出していくことが必要だと考えています。
高石:日本において、知財価値の認知が誰にとって必要なのかというと、ビジネス現役世代とその次世代である子供たちだと考えています。
日本の特許出願数をみてみると、経済の停滞と関連してか、2006年頃には約40万件だったものが現在約28万件まで下がっています。
一方、世界の経済は伸びていて、それに伴いアメリカや中国、韓国の特許出願件数は伸びています。
例えば韓国と日本の特許出願数を見てみると韓国は約21万件、日本が約28万件。一見すると近い数字ですが、韓国は増えており、日本は減っているので心配です。日本に特許出願する意義を高く見られなくなったとも考えられます。
一方、日本出願が約28万件であるのに対し、アメリカ出願のうち日本人が出願人の件数を見てみると、2020年には10万件を突破しています。
日本出願が減って、日本人によるアメリカ出願が増えている。ヨーロッパ特許庁における日本人の出願も毎年2.2万件、日本人による中国出願は毎年約5万件、日本人による韓国出願も毎年1.5万件という事実を併せて考えると、日本国でのみ特許を取るのではなく、最初から諸外国に移行することを念頭において特許出願戦略を策定することが必須です。
また、「分割出願」も増加しています。2005年に8万件だった分割出願が2012年移行約15万件ですからおよそ2倍です。ここ15年で、分割出願と諸外国移行が増えているということは、企業の知財戦略がここ15年で変わってきていることを意味します。したがって、日本での優先基礎出願明細書を工夫して、出願後に分割出願や優先権主張をして発明を事後的に特許化する、という戦略です。そうはいっても、日本の出願件数が全体として下がってきていることは、日本の知財実務者としては残念です。
こういった実情とあるべき姿を次の世代にもつないでいかないといけないと思いますし、そのためには、広く皆様が知的財産に関する知識をつけていく必要があると考えています。本映画と無理やり結びつけようというわけではないですが、日本発の知財の価値を高めるには、やはり知財の認知向上が必要と考えています。
15万件も分割出願されているということは「やっている人はやっている」という状態です。分割出願をせずに、1件の特許明細書にすべて記載してしまうと、他社からすればその特許のクレーム文言を回避すれば済んでしまいます。
そういった事情から、企業が「分割出願のメリットを認識しているか否か」という点は知財戦略を考えるうえで大きいと思います。分割出願をあまりしていない企業は、統計に照らしても、改めて知財戦略を考える必要があると思います。
もしそのメリットを意識して出願戦略を策定しているならばよいですが、特に意識していないのであれば、社内の知財教育も兼ねて、是非一緒にやりましょうと言いたいです。
分割出願は、1件の出願費用で、実質的に数件出願分のオプション権を取得したようなものです。このオプション権を適宜行使し、出願後に合法的に特許権を取得して権利行使できる。このような便利なシステムが法律上認められているのに活用しない理由はないと思います。分割出願一つみても、企業が最も得をする法制度を認識しているか、知識があるかで大きく知財戦略が左右されます。
今回の草野さんの映画も、このような知識を得るアンテナを張るための、きっかけのひとつになるのではないかと期待しています。
草野氏のホームページ、SNS
HP:https://patentinvestment.jp/
Twitter:https://mobile.twitter.com/patentkusano