Smart-IPとは
『知財業界におけるすべての業務をDXによりアップデートし、「プロがプロの仕事に集中」できる時間を増やす』ことをミッションとして掲げ、スマートドラフティングシステム(現在開発中)をはじめとし、特許事務所業務のDX支援コンサルティング、知財関連システムの開発受託サービスを提供しています。
Smart-IPの強み
湯浅:Smart-IPの強みは、「実際の知財実務・知財経営の最前線にいるメンバー」が揃っているというところにあります。現場の課題を把握しつつ、システムの開発・販売を行うことができます。また、ボードメンバー全員がIT企業出身者であり、業務効率化への感度が高いのも特徴です。
知財業界におけるレガシーな業務スタイルからの脱却を実現するために、そのミッションを達成できるチーム体制になっていると思います。
代表取締役社長兼CEO(弁理士)
湯浅 竜
明治大学法学部法律学科を卒業後、特許事務所に入所。2012年にTechnoProducer株式会社に入社し、その後2014年には東京理科大学二部電気工学科を卒業。2014年から東京理科大学に非常勤講師として勤め、知的財産、企業分析論の教鞭を取る。2015年に株式会社ドワンゴ知的財産セクションに所属し、セクションマネージャーを務める。
2018年から現在までIPTech弁理士法人で副所長兼COOを務める。2023年に、iU 情報経営イノベーション専門職大学の客員教授に就任。
辻との出会い
湯浅:(湯浅氏の元職場である)ドワンゴ繋がりです。当時直接やり取りすることは無かったのですが、僕が最も信頼をしているドワンゴ時代のエンジニアに「CTOを探している」と相談を持ちかけたところ、紹介いただいたのが辻さんです。
Smart-IP社の目指す高い理想を実現させるためには、「知財業界のDX化の震源地」になるにふさわしい、高いエンジニアリングスキルを持つ方が必要でした。
辻さんがいた頃のドワンゴは特にスキルが高いと評判だった時代でもあり、それこそモンスターみたいな方がゴロゴロいました。その中でも辻さんは同期からも抜きん出た存在で、前職は上場企業でCTOも経験されていて、申し分のない実績でした。年齢も僕と1つ違いと世代が近く、何とかSmart-IPにジョインしてほしいと思い、何度も飲みに行き、お互いの目指す世界観や価値観を語り合いました。
辻:私は前職がFinTechの分野だったこともあり、技術の進歩に対して業界が追い付いていないという業界をDX化するところに関心がありました。知財の業界についても同じで、「挑戦する人がいない」ということを聞きまして、湯浅さんと話をしているうちに、自分自身がここで挑戦したいという気持ちになりました。
CTO
辻 良繁
東京大学大学院 情報理工学系研究科修了。在学中にIPAのソフトウェア創造事業にて「PostgreSQLの検索高速化」をテーマに採択経験有り。新卒でドワンゴへ入社、ニコニコ動画/生放送のアプリケーション開発に従事。その後、100名規模のスタートアップ企業にて技術統括本部長。ユメノソラホールディングス株式会社にてクリエイター支援プラットフォーム「ファンティア」の立ち上げを経験。2017年、株式会社ZUUへ参画、開発管掌執行役員・子会社ZUUM-A取締役を務める。
湯浅:辻さんは上場企業のCTOをされていたことで、現実問題として、できたばかりのスタートアップに入ってもらうのは無理だと思っていました。すごく評判の高い方ですし、実際に辻さんを紹介してくれた方とも「週1でアドバイザーに入ってくれるだけでもありがたいよね」という話をしていました。
しかし、結果としては、Smart-IPのCTOとしてボードメンバーの一人になってくれることになりました。
Smart-IPに参加してみて思うこと
辻:まず、スタートアップのスピード感が素晴らしいですね。大手だと社内手続きが多かったり、企画書を書いて、予算をつけるのに何カ月も待たないといけないとかありますが、現段階のSmart-IP社はそうではないので、創業期を生きてるという感じがしますね。
FinTech事業の中で、ブロックチェーンを活用したサービスをやっているときに、「技術が進んでいるけど、法律が追い付いていない」という実態を目の当たりにしました。そこでリーガルテック分野に関心を持ちました。そうしているときに「リーガルテック、知財テック分野の会社があるんだけど」という話を知り合いから持ち掛けられて、Smart-IP社と出会いました。前職は6年ほど続けていましたが、新規のプロダクトがちょうど無かったことなどのタイミングが重なり、うまくマッチしたと思います。
入社してからは、業界事情や明細書作成方法についてのインプットを積極的に行っています。実際にリーガルテック・知財領域に関するイベントにも参加をし、現場の声も集めました。明細書の作成を支援できるシステムを開発できるようにと色々と試行錯誤していますが、磨きがいのある分野だと感じました。
今後の開発について言える範囲でお答えすると、知財分野は外国出願もありますし、外国事務所との連携というのも当然ありますので、そのあたりを意識した開発というのを今後進めていく予定です。
生成AIの勢いがある中でのSmart-IPの立ち位置
湯浅:佐竹は8月からSmart-IP社の副社長取締役に就任しています。前職はゲーム会社のコロプラ社で知財担当をしており、5年ほど前に創業したIPTech弁理士法人の副所長としても特許実務の現場を仕切っています。IPTechには大手・スタートアップ含め40社近くの顧問先がありますが、それらも統括しており、知財コンサルのみならず経営コンサルまでも行っている、まさに「次世代型の弁理士」として大活躍中の人間です。MBA保有者でもあることから、Smart-IP社の全社戦略、事業戦略、知財戦略の立案・実行が佐竹の役割です。また、特許実務を最も知る人間としてSmart-IP社のPdM(プロダクトマネージャー)も担当しています。
佐竹:少し大枠の話になりますが、最近生成AIがすごく伸びてきていて、知財業界においても明細書を書いている現場の実務家は「私の仕事なくなるんじゃないか」と真剣に悩む声も聞いています。特に若手の方からそういった声が多く挙がっている印象を受けます。
彼らは若手ということもあり、依頼者から送られてきた書類を特許書類の文章にきっちり書き起こすという、基本かつシンプルな業務や、特許明細書のボリュームが一定程度に収まる案件を頻繁に担当しているということもあると思うんですが、AIが得意とする工程も多く、これについては業務としては減っていく方向にあると言えます。
なので、実務家の仕事は事業に即して知財活動の「目的」を定義したり、目的に沿って「何を発明として捉えて特許化しようか」を整理するような戦略的な部分がメインとなっていく流れではあると思います。そこで、個々の発明について議論をし、管理をすることをまずはちゃんとやろうよ、というところになります。個々の発明の議論と管理がうまくできていないと、特許の戦略を適切に練るというところがうまくいかなくなる可能性があります。そういった管理ができ、プロがプロの仕事に集中できるインフラを作ろうというのがSmart-IP社のやろうと考えていることです。
取締役副社長兼CCO(弁理士)
佐竹 星爾
京都大学工学部地球工学科卒業、京都大学経営管理大学院事業創再生プログラム修了。技術移転機関にて京都大学の産学連携業務、大手特許事務所を経て株式会社コロプラに入社。同社の特許権利化や渉外業務に携わる。
2019年にIPTech弁理士法人の特許技術本部長として入所し、特許権利化実務の体制構築を進めている。
湯浅:AIについてですが、実はSmart-IP社としてはAIそのものの開発にそこまで興味がありません。アルゴリズムを独自に作ろうというのは、僕らはやらない方針です。
僕らがやりたいのはあくまで明細書作成の「インフラ」を作るというところです。その中に必要なAIなどがあればもちろん”程よいUIと共に”実装したり取り込んだりということはします。しかし、僕らが重視しているのはあくまでも「特許明細書を書くことに特化した専用のインフラ構築」です。
佐竹:今まではOffice製品である”Word”をローカル管理したり、発明資料など発明に関するデータをバラバラな名称ルールで社内フォルダに入れることが多いと思います。その結果、ファイルがどこに行ったか分からなくなった、探すのに時間がかかるという経験をした事務所も多いと思います。それもそのはずで、Wordは「特許明細書作成に特化したシステム」ではないためです。Wordのマクロなどで業務を効率化しているケースもありますが、マクロは複雑な構造で、ともすれば「魔改造」にもなりかねず、UI/UXデザインの調整も難しいです。現代のシステムは「UI/UXがすべて」と言われるくらい重要な要素なのですが、Smart-IP社ではこの課題に正面から取り組むことで、マクロでは実現できないUI/UXの実現や、クラウド環境下であればこその所内データの利活用、カジュアルな機能アップデート、所内のマネージメント機能やクライアントととのコミュニケーション機能の実装が可能になります。
僕たちは「特許明細書作成に特化」した統一的なプラットフォーム、わかりやすいUIを実装したシステムを使って発明管理のインフラを使って業務に集中できるような環境を構築するところをまずはやりましょう、というスタンスです。
「appia-engine」で実現する世界観
現在、Smart-IP社では、特許明細書作成に特化した専用システム(スマートドラフティングシステム)として「appia-engine」を開発しています。appia-engineを利用することで、これまでのWord環境下ではできなかったあらゆることを実現し、弁理士1人あたりの処理件数を倍以上に増やすことを目指しています。その結果、売上自体も増え、さらにシステムを使えばミスも減らせるしクオリティを上げることもできます。
一般論として、DX化にまつわる新しいシステムが出ると、これまでのスタイルで仕事している人たちからは「仕事が奪われるのかも」という不安が出ることがあります。しかし、その意味で僕らが目指している世界は真逆です。システムを使うことで弁理士や実務家の「プロがプロとして使える時間」がいっそう効率化されるので、「一人一人の時間当たりの単価が上がる」という世界を作っていきたいと考えています。単価が上がることで、さらにクオリティにこだわる弁理士も増えるでしょうし、戦略立案や発明創出からコミットできる弁理士も増えると思っています。さらに、プロの力量をよりいっそう引き出せるシステムとすることで、実務家が業務に没頭しやすくなり、特許明細書作成の心理的な負荷も減らしていけるだろうと考えています。そうなると、知財業界は今まで以上にダイナミックな仕事が増え、プレイヤーの底上げにもつながり、産業界発展にもダイレクトに貢献できるようになると思っています。
湯浅:知財業界問わず世の中的には紙作業やローカル環境での仕事は「減る」方向に向かうと思いますので、その準備にもなります。クラウド環境で仕事ができるとリモートワークでも働きやすくなりますし、実力のある人であれば、本人にとって過ごしやすい場所で優雅に過ごしながらクオリティの高い特許明細書を作成し、年収も高い状態を維持するという生活も可能です。若い方々からすると今一番魅力の業種は経営コンサルや金融業界かもしれませんが、知財の仕事だって負けていないと思います。リモートワーク環境で、システムを使ってクオリティを高めて、最先端の技術に触れられて、クライアントの発明を支援する。そんな世界を作っていければこの業界にもっと若い人が来て、業界自体も発展すると思っています。
知財業界の人手不足対するアプローチとは
上池:最近の特許事務所は案件は増えてきているけど人が足りないという課題を抱えているところが多くなってきています。元々やってきていた人が高齢化したり、技術分野が変わってきたり・・・ということから人がいないという現実があります。技術にも触れられて、生産性も高く、スキルを身に付ければ収入も増やせるので、魅力は結構ある業界だと思うんですが、あまりそれが知られていないというところもあります。
取締役兼CMO
上池 睦
東京理科大学専門職大学院イノベーション研究科知的財産戦略専攻修了。2015年にサイボウズ株式会社に入社し、知財業務をメインとして体制整備などを行う。2022年からは開発部門に移り、エンジニアと近い距離で特許業務に従事。
2019年IPTech弁理士法人参画、2021年株式会社知財塾の代表取締役就任。
私は知財塾という、知財実務教育と転職支援を行う会社の代表も務めています。初学者向けのゼミを開講してスキルを身に付けてもらい、転職支援をすることで、専門性の高い知財業界に入って来やすくすることを目指しています。
例えば、その教育の中でSmart-IP社のシステムに触れてもらえば、ユーザー数を増やすと同時に、生産性高く明細書作成ができる人材を業界に呼び込むことにも繋がります。また、特許事務所や企業知財部にある人が足りなくて困っているという課題に対して、知財塾では良い人材を紹介するという解決を行いますが、一方でSmart-IP社では、生産性を上げることで人を増やさなくても業務が回るようにしていく提案もできるようになります。
現場の声を聞きながら、市場に対して価値を提供していきたいと思っております。
Smart-IPのこれから
湯浅:今年の12月に、スマートドラフティングシステム「appia-engine」のリリースを予定しています。開発のための資金調達も無事完了し、これから開発に本腰を入れていきます。
プレスリリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000007.000102158.html
初めはメインの機能に絞ったMVP(Minimum Viable Product)になりますが、お客様のフィードバックをいただきながら継続的な機能追加を行っていきますので、リリースをどうぞご期待ください。
Smart-IP株式会社:https://smart-ip.jp/