「特許情報は宝の山だ」「シーズの宝庫だ」知財の重要性が叫ばれることが増え、そのような言葉を目にする機会が増えてきた昨今ですが、実際の特許は情報量も多く、どの情報から何が読み取れるかを把握しきれない面があります。
普段、特許の情報をチェックしていて、審査情報をなんとなく見過ごしている方も多いかもしれません。
今回は審査情報から読み取れる情報について解説していきたいと思います。
特許分析、まず何をするか
特許分析においてまずする必要があるのは自社のベンチマークしている競合企業がどのような動きをしているかといったことや、業界全体としてどのような技術傾向があるかといったことになります。
まずはキーワード検索をし、どのような企業や特許が検索結果として出てくるかをざっと把握するところからがスタートになります。
そして、気になる特許を見つけ、中身を見ていきます。
特許に書いてあること
その特許がどのような課題をどのような手段によって解決しようとしているかという情報を読み取ることができます。
「発明説明」に書いてある【発明が解決しようとする課題】、【課題を解決するための手段】、【発明の効果】が参考になります。
ただ、これだけでは、その企業がその特許をどのくらい活用しようと考えているかという点は読み取ることができません。
審査情報から読み取れる「その企業にとっての優先度」
具体的な発明の内容に加えて、特許から読み取れる情報には、大きく分けて以下の4項目があります。
競合企業がどのような技術の開発に注力しているかは、競合他社を分析し自社の今後の方向性を定める場面において非常に重要な情報となります。
では、実際に審査情報をみていきます。
Tokkyo.Aiでは以下の「行政記録」というタブをクリックすることで、審査の経過常態を見ることができます。
ページ下部にある「審査記録」からは、時系列に特許取得までの経過情報が記載されているので、参考になります。
これらの情報から、どのような時系列で特許取得がされているかを見ることができます。
特許取得を急いでいることが読み取れるケース
例えばですが、上の特許と比べて、以下の特許を見てください。
経過情報の中に「早期審査に関する事情説明書」という記載があります。
これは通常以上のコストをかけてでも通常の特許よりも早く審査をしてほしいということが読み取れるかと思います。
たとえば、「自動運転」に関する技術で、権利を早く取得したいと考えている「早期審査」をかけている特許を検索したいと考えた場合は、検索エンジンに「自動運転 早期審査」と入力して検索をすることで「早期審査」の履歴がある特許を検索することができます。
まとめ
特許情報からはさまざまな要素を読み取ることができます。
なお、「特許取得を急いでいることが読み取れるケース」で取り上げた「早期審査」の事例も、メルカリが2020年に出願している特許です。
なぜ、フリマアプリ「メルカリ」を運営するメルカリ社がモビリティーの特許を出したのでしょうか。
メルカリがコストをかけてモビリティー系の開発を進めている理由はどこにあるのでしょうか。
そのような疑問が、特許情報を見るだけで溢れてきます。
こういった疑問が得られることそれ自体が、特許情報が宝の山と言われている理由の一つではないでしょうか。