width=

特許分析から見えてくる!キヤノン株式会社の最新の技術動向は?【企業分析】

近年、特許は企業競争力を左右する戦略的な資産となっており、多くの企業が特許出願や特許権管理に力を入れています。企業戦略においてますます重要性を増す特許ですが、特許出願がなされると公開されるため、誰でもその情報を見ることができます。

キヤノン株式会社は、世界的に有名な精密機器メーカーであり、特にカメラ、プリンターなどの製造で知られています。本記事では、同社の特許出願状況について分析することで、技術開発や製品開発に関する最新の取り組みを探っていきます。

まずは企業を検索

企業の検索では、Tokkoy.ai( https://www.tokkyo.ai/ )の上部に表示される検索窓の左の項目から「企業IP」を選択してください。そして企業名を入れて検索すると、関連する企業が得られます。今回は「キヤノン株式会社」と検索しました。

こちらの「キヤノン株式会社」をクリックすると以下のように様々な企業情報を見ることが出来ます。

「保有知的財産権リスト」や「出願特許産業分布」のほか、資本金や従業員数などの「法人情報」や、売上高や純資産額、経常利益、当期純利益などの「財務情報」を見ることができます。

「出願特許産業分布」を見てみると、やはり主力産業のカメラに関わる「光学機械器具・レンズ製造業」や「映像・音響機械器具製造業」、プリンター・複合機に関わる「事務用機械器具製造業」に関する特許が多いことが見受けられます。「保有知的財産リスト」を見ると特許が25万件以上にものぼり断トツに多く、それと比較すると「意匠」「商標」の数は2000件弱にとどまっています。知財の中でも特許に非常に注力していることがわかります。

詳しい出願状況の分析

「知的財産権分析」タブをクリックし、「特許分野別現況分析」から、企業が保有する知的財産について様々な方法で分析することが出来ます。

こちらではIPC分類をベースにした技術分野別の出願数を見ることができます。

ここから、企業の主力産業に関わる技術分野を見てみるもよし、あるいは意外な技術分野の特許を見てみるもよし、気になる技術分野を選択することで、その分野の特許に絞り込んで調べることが出来ます。

企業の最新動向を分析

「最新保有特許」からは、企業が直近で出願した特許の一覧を見ることができます。

今回は、最も新しく出願された特許を見てみましょう。

気になる特許をクリックすることで詳細な情報を見ることが出来ます。

「画像形成装置」という特許が最も直近の出願であることがわかりました。

いったいどのような特許なのか、「発明の詳細説明」のタブから詳細を見ていきましょう。

「Glarity Summary」のプラグイン機能を使ってAIに要約させてみると以下のような要約を得られました。

要約をみてみると『本発明は、加熱部材と加圧部材の圧接部によってトナー像を定着する画像形成装置であり、搬送方向と直交する幅方向にプロセス装置が備えられた本体フレームが設けられ、定着フレーム、定着カバー、搬送ガイドが含まれている。さらに、本体フレーム側に突出した突出部を有する定着カバーが提供され、定着器の搬送路の広さを確保しながら、部品を追加することなく安定性を確保することができる。』と表示されています。

おそらくはキヤノン株式会社の主力製品であるプリンターや複合機に関連する発明ではないかと予測されます。

今回は、この発明の審査情報を分析してみましょう。

「行政記録」タブから、この発明に対する審査の経過状態を確認できます。

2023年3月に「出願審査請求」をしていることに着目してみます。

「出願審査請求」とは、ひとことで言うと、出願した発明について特許がなされるのか否かの審査を求める手続きです。

出願から3年以内に行えばよい手続きですが、この発明では、2023年2月の出願時から、わずか一か月ほどで出願審査請求が行われています。

このことから、特許の取得を急いでいるのではないか、またこの発明に非常に注力しているのではないか、などの予測が立てられます。

出願数の多い企業を分析する場合、すべての特許を確認することは必ずしも効率的ではありません。

そんなときは「審査情報」から読み取れる情報を元に、より重要度の高そうなものから分析していくという手法もあります。

スピーディに企業の技術動向を分析する上で、役に立ちますね。

今回、調査した「画像形成装置」は、最も直近に出願がなされている上に、出願からわずか一か月で出願審査請求されているなど、注目に値します。右上に4つ並んでいるアイコンの、右から2つめのアイコンをクリックして「お気に入りに追加」し、いつでも見ることができるようにしました。

また、左から1つめのアイコンをクリックして「共有」し、社内の人へ紹介することができました。

参考記事:『審査経過情報から重要特許を炙り出す』

まとめ

Tokkyo.Aiの分析機能を活用することで企業の最新の動向を特許から推測することができました。注目している企業や業界全体の技術動向を分析でき、自社の戦略を立てるのにも役立ちます。ぜひさまざまな企業の技術分析にお役立てください。

参考記事:『「メタバース」関連特許の技術動向と用途とは』

参考記事:『無料の新しい特許検索エンジン「Tokkyo.Ai」で競合企業をチェックする方法』