特許は、発明者に一定期間の独占権を与えることで、新しい技術の開発や普及を促進する目的があります。特許文献は、発明の詳細な情報を提供し、他の研究者や企業が同様の技術を開発する際の参考資料となります。
特許文献を効果的に検索、分析するためには、特許分類システムが重要です。本記事では、特許分類の中でも国際的な分類システムである「CPC」についてわかりやすく解説します。
特許のCPCとは?
CPC(Cooperative Patent Classification)とは、特許文献を分類するための国際的な分類システムです。
CPCは、欧州特許庁(EPO)と米国特許商標庁(USPTO)が共同で開発し、2013年に導入されました。この分類システムは、技術分野を体系的に分類し、特許出願や特許情報の検索、分析を効率化することを目的としています。
CPCの構造と分類方法
CPCは、約250,000の分類記号を持ち、アルファベットと数字を組み合わせた階層構造で構成されています。大きく分けて8つのセクションに分かれ、さらに細かいサブクラス、グループ、サブグループに分類されます。例えば、Aセクションは人間必要性に関する技術、Bセクションは運輸・運搬に関する技術などが含まれています。
CPCの分類記号は、以下のように構成されています。
セクション: アルファベット1文字(例:A, B, C)
サブクラス: アルファベット2文字(例:A01, A02, B01)
グループ: 数字4桁(例:A01B 0010, A01B 0020, B01D 0100)
サブグループ: スラッシュ(/)と数字で表現(例:A01B 0010/00, A01B 0010/02, B01D 0100/10)
CPCと他の特許分類システムの違い
CPCは、国際特許分類(IPC)に基づいており、さらに詳細なレベルでの分類が可能です。これにより、特許出願者や研究者は、関連する特許文献をより簡単に特定し、検索結果の精度を向上させることができます。他にも、国別に独自の特許分類システムが存在しますが、CPCは国際的な共通基準として広く利用されています。
CPCの利点
CPCの主な利点は以下の通りです。
国際的な共通基準:多くの国がCPCを採用しているため、国際的な特許検索が容易になります。
詳細な分類:細かい分類が可能なため、関連する特許文献を見つけやすく、検索結果の精度が向上します。
柔軟性:新しい技術分野やサブグループが追加されることが容易で、技術の進歩に対応できます。
CPCを活用した特許検索の方法
特許検索にCPCを活用する際は、以下の手順を踏むことが一般的です。
- キーワード検索:発明に関連するキーワードを用いて、概ね関連する特許文献を探します。
- CPC分類の特定:キーワード検索で得られた特許文献のCPC分類を調べ、関連するCPC分類を特定します。
- 分類検索:特定したCPC分類を用いて、該当する特許文献を検索します。これにより、より関連性の高い特許文献が得られます。
- 検索結果の分析:検索結果を分析し、発明の新規性や進歩性を評価します。また、競合他社の特許情報や技術動向を把握することができます。
まとめ
特許のCPCは、特許文献を分類する国際的な分類システムであり、特許出願や特許情報の検索、分析を効率化する目的があります。CPCは、国際特許分類(IPC)に基づいており、より詳細な分類が可能で、関連する特許文献を簡単に特定し、検索結果の精度を向上させることができます。国際的な共通基準として広く利用されており、新しい技術分野やサブグループの追加が容易で、技術の進歩に対応できる柔軟性を持っています。
CPCを活用した特許検索は、キーワード検索から始め、関連するCPC分類を特定し、分類検索を行うことで、より関連性の高い特許文献が得られます。また、検索結果を分析することで、発明の新規性や進歩性を評価し、競合他社の特許情報や技術動向を把握することができます。
このように、CPCは特許分類の分野で重要な役割を果たしており、特許出願者や研究者にとって有益なツールです。特許分類の理解とCPCの活用が、発明の保護や競争力向上に繋がることでしょう。