弁理士とは
弁理士は、特許権・実用新案権・意匠権・商標権などの知的財産に関する専門家で、弁理士試験に合格した人が手にすることができる国家資格です。
弁理士は、知的財産権の取得に関する手続きの代理や、特許などの知的財産権を侵害された場合の対応(訴訟の場合は弁護士と共同で対応)、そして最近では知的財産をどうやったらうまく活用できるかというコンサルティングに関する事項など、知的財産に関することを広く取り扱います。
法律上で定められた弁理士の業務については弁理士会のホームページに詳しく載っているのでご参照ください。
【(参考)「弁理士法で定められた弁理士の業務について」日本弁理士会のホームページより https://www.jpaa.or.jp/patent-attorney/business/】
弁理士は、知的財産の取得に関して、クライアント企業の相談に乗り、特許庁への提出に必要な書類の作成・提出代行ができます。
それ以外にも、近年は知財戦略に力を入れる企業が増えてきていることから、コンサルティングをはじめ、業務の幅は広がるのではないでしょうか。
弁理士の平均年収
ズバリ、弁理士の平均年収は700万円程度といわれているようです。
国税庁が出している「民間給与実態統計調査結果」(令和元年版)によると、民間全体の平均給与は 436 万円であることから、弁理士の年収は平均よりかなり高いといえるでしょう。
なお、弁理士には大きく分けて3種類の働き方があります。
①独立して自分の弁理士事務所をもつ
②弁理士事務所や会社で働く
③特許庁で働く
そして、それぞれ年収は大きく異なります。
①独立して自分の弁理士事務所をもつ
年収:500万~数千万円
資格を取得して特許事務所や企業で数年勤務後、あるいは資格を取得してすぐに独立するという働き方があります。
この場合、経営者となるため全体的な年収を算出することは困難ですが、事務所が軌道に乗れば数千万円から数億円の年収になると言われています。
しかし当然ながら、軌道に乗るまでの期間は赤字が続きますし、そもそも軌道に乗ることができずに貯金が底をつき、事務所を畳むしかないという状況になることもあります。
軌道に乗るまでの赤字経営をできるだけの貯金や、独立前にしっかりと人脈をつくるなどしてある程度の見込みを確保して独立するほうがベターではないでしょうか。
独立後においては、仕事を取ってくる営業力が必要ですので、専門知識に加えて営業経験があったほうがよいという声もあるようです。
また、潜在的な顧客を増やすため、知的財産の重要性を周知していくことも重要なポイントとなりそうです。
②弁理士事務所や会社で働く
年収:400万~1000万円
人数的にも弁理士全体の約60%以上が該当し、ここが一番のボリュームゾーンとなります(2020年12月31日現在)。
【(参考)「会員分布状況」日本弁理士会のホームページより:https://www.jpaa.or.jp/cms/wp-content/uploads/2020/08/dstribution-202006.pdf】
もちろんこの場合も弁理士事務所に勤める場合と会社の知財部などに勤める場合とで差はありますが、役職が付くといずれの場合も年収は1000万円くらいとなることが多いようです。
ただ、弁理士事務所は、能力主義・成果主義的な事務所が多々あるようですが、会社に勤務する場合(知財部など)の待遇については、サラリーマンと変わらないことが多いようです。
会社においては、弁理士の資格を持っていることで、資格手当が数万円支給されることもあるようですが、資格それ自体で年収が上がるというよりも、出世の段階(役職者となる段階)で考慮されるということも多いようです。
③特許庁で働く
年収:500万~850万円
①、②とは業務内容がかなり異なり、先行技術調査や発明内容の審査といった特許審査業務が中心となります。そして、制度の推進や見直し、ベンチャー企業や大学、TLOの支援なども行います。
そして、任期付き審査官として働く場合か、審査官補助として働く場合かによって年収はかなり変わります。
任期付き審査官だと700~800万円以上の年収が見込めるようです。
弁理士は将来性のある国家資格
以上、見ていただければわかるように、弁理士は専門性の高い資格であることから平均年収も民間一般よりも高額となっています。
そして近年、特許をはじめとする知的財産に関する事業戦略は、大小問わず多くの企業で重要性が叫ばれています。
このことから、知的財産に関する専門家のニーズは高まるのではないでしょうか。
もちろん、弁理士は合格率7~10%程度の難関資格ですので、資格取得は容易ではありませんが、挑戦する価値は大いにあるかと思います。