「資生堂」といえば「化粧品」のイメージだと思います。特許は発明品の権利を守るために出願しますが、それと同時にすべての人に公開されるので開発している情報を見ることが出来ます。
特許情報から企業の戦略を読み取ることが出来るので、競争において特許の分析は非常に有効な手段になります。
企業の検索
企業の検索は、Tokko.ai(https://www.tokkyo.ai/)の検索窓左から企業IPを選択してください。そして企業名を入れて検索します。すると関連する企業が得られます。今回は「資生堂」と検索しました。
そして気になる企業をクリックします。
すると以下のように様々な企業情報を見ることが出来ます。
すると、「保有知的財産権リスト」や「出願特許産業分布」はもちろん、資本金や従業員数などの「法人情報」や売上高や純資産額、経常利益、当期純利益などの「財務情報」を確認することが出来ます。
また、最新保有特許や意匠、商標も分かるので企業の最近の動向を分析しやすくなります。
さらに企業によっては従業員の男女比などの「企業規模詳細」を見ることが出来ます。
資生堂の従業員の男女比は4:6と若干女性のほうが多いですね。
上の「出願特許産業分布」を見てみると、やはり「化粧品」に関する特許が多いことが見受けられます。「保有知的財産リスト」を見ると特許も多いですが、「商標」の数が非常に多いですね。
詳しい出願状況の分析
「特許分野別現況分析」から企業が保有する知的財産について様々な方法で分析することが出来ます。
化粧品などの成分に関わる「機密有機化学」の特許が最も多いことがわかります。
右の一覧より項目をクリックすることで、円グラフの分析対象項目から除外することが出来ます。圧倒的に割合の多い「機密有機化学」を除いて見てみます。
また、右上より表・グラフの表示を変えることで、異なる見方をすることが出来ます。
ここで気になる分野を発見しました。資生堂で「家具・ゲーム」の分野に出願があります。この分野の特許を詳しく見てみます。
気になる技術分野を選択することでその分野の特許に絞り込んで調べることが出来ます。
意外な特許分野の発見
絞り込んだものは下にリスト表示されます。
多くが家具の分野なのですが、一際気になる特許を見つけました。
「ゲーム装置、ゲーム制御方法、ゲーム制御プログラム、及び、該プログラムを記録した記録媒体」資生堂がゲーム機を作っているではありませんか。
気になる特許をクリックすることで詳細な情報を見ることが出来ます。
しっかりとゲーム機の見た目です。どのようなゲーム機なのか、「発明の詳細説明」タブから概要を見てみましょう。
簡単に言えば、「自分の顔に合う化粧を施すシミュレーション」を行うというゲーム機です。実際の自分の顔に着せ替え化粧が出来るというものでしょう。
「Glarity Summary」の機能を使ってAIに要約させてみると以下のような要約を得られました。
要約をみてみると『本発明は、顔画像に対して使用者が所望する化粧を簡単にシミュレーションするためのゲーム装置、ゲーム制御方法、ゲーム制御プログラム、及び、該プログラムを記録した記録媒体に関する。これにより、使用者は自分に最適な化粧方法を選択できるようになる。具体的には、顔画像から各部位を抽出し、タイプごとに分けて、予め設定したメイクを検出した部位にモーフィングして貼り付けることで、画像として表示する。』と表示されています。
しかし、この特許は既に消滅(不納・放棄)している事がわかるので商品化をあきらめて開発を放棄してしまったのでしょう。残念です。
引用分析のタブを見てみると、「被引用」つまり後の技術の参考にされていることがわかります。商品化は叶いませんでしたが未来の技術の糧になったわけです。
大変面白い特許を見つけたので、上の赤枠で囲まれたところから「お気に入りに追加」しましたのでいつでも見ることが出来ます。また「共有」から会社内の人へ紹介しました。
参考記事:『審査経過情報から重要特許を炙り出す』
まとめ
Tokkyo.Aiの分析機能を活用することで驚きの発見がありました。自社の戦略を立てるのにも役立ちますし、何より調べていて面白いです。ぜひいろいろな発見をしてみてください。