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特許の情報提供とは?登録した特許が無効になる可能性について解説

特許についての情報を収集していると、「情報提供」という言葉を目にします。
今回は特許における「情報提供」の意義・方法について解説していきます。

情報提供とは

情報提供とは、その名の通り情報を提供することです。

どのような情報を提供するかというと、「特許出願に係る発明が新規性・進歩性を有していないこと」についてです。

特許庁は、特許法施行規則第13条の2に基づき、いつでも情報提供を受け付けています。

しかも、誰でも提供することができ、匿名も可能です。

参考条文:特許法施行規則 第十三条の二(情報の提供)

何人も、特許庁長官に対し、刊行物、特許出願又は実用新案登録出願の願書に添付した明細書、特許請求の範囲若しくは実用新案登録請求の範囲若しくは図面の写しその他の書類を提出することにより、特許出願が次の各号のいずれかに該当する旨の情報を提供することができる。ただし、当該特許出願が特許庁に係属しなくなつたときは、この限りでない。

一 その特許出願(特許法第三十六条の二第二項の外国語書面出願、同法第百八十四条の四第一項の外国語特許出願及び同法第百八十四条の二十第四項の規定により特許出願とみなされた国際出願であつて外国語でされたものを除く。)の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面についてした補正が特許法第十七条の二第三項に規定する要件を満たしていないこと。

二 その特許出願に係る発明が特許法第二十九条、第二十九条の二又は第三十九条第一項から第四項までの規定により特許をすることができないものであること。

三 その特許出願が特許法第三十六条第四項又は第六項(第四号を除く。)に規定する要件を満たしていないこと。

四 その特許出願が特許法第三十六条の二第二項の外国語書面出願である場合において、当該特許出願の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項が同条第一項の外国語書面に記載した事項の範囲内にないこと。

2 前項の規定による情報の提供は、様式第二十により作成した書面によらなければならない。

3 項の書面には、第一条第三項の規定にかかわらず、提出者の氏名若しくは名称、住所若しくは居所又は法人にあつては代表者の氏名を記載することを省略することができる。

情報提供の内容

情報提供ができる内容については、特許の拒絶理由や無効理由のうち、以下に関するものについて行うことができます。

  • 17条の2第3項(新規事項追加)
  • 第29条第1項柱書(非発明又は産業上利用可能性の欠如)
  • 第29条第1項(新規性欠如)
  • 第29条第2項(進歩性欠如)
  • 第29条の2(拡大先願)
  • 第39条第1項から第4項(先願)
  • 第36条第4項第1号(明細書の記載要件違反)
  • 第36条第4項第2号(先行技術文献情報開示要件違反)
  • 第36条第6項第1号から第3号(特許請求の範囲の記載要件違反)
  • 第36条の2第2項(原文新規事項追加)

(参考:https://www.jpo.go.jp/system/patent/shinsa/johotekyo/jyouhou_01.html

情報提供の方法

どのように情報提供するのかというと、特許庁に対して、刊行物や実験報告書などの証明書類などの「書面」を提出することで行うことができます。方法は、特許庁窓口への提出か、特許庁への郵送、インターネット出願ソフトによって行うことができます。

また、情報提供者が希望すれば、その情報が審査に利用されたか否かのフィードバックを受けることができます。

※フィードバックのフォームは以下参照。

(参考:https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/patent/handbook_shinsa/document/index/01.pdf )

ただ、注意しないといけないのは、情報提供者は特許出願の審査における当事者ではないので、「情報提供者の当該情報に関する釈明、面接等の機会」は与えられません。

これらによって、審査官と情報提供者とが連絡をとることは認められないので、注意が必要です。

また、情報提供者は、特許法第194条第1 項により審査官が書類等の提出を求める対象者となることもできません。 

参考条文:特許法 第百九十四条(書類の提出等)

特許庁長官又は審査官は、当事者に対し、特許異議の申立て、審判又は再審に関する手続以外の手続を処理するため必要な書類その他の物件の提出を求めることができる。

制度の利用実績

情報提供制度の最近の利用数を見てみると利用数自体は年々減ってきていますが、オンラインでの情報提供が増えていることが読み取れます。

(引用元:https://www.jpo.go.jp/system/patent/shinsa/johotekyo/index.html

まとめ

情報提供は、競合企業の特許についての情報を提供すればその特許を無効にできたりと非常に強力な効果をもちます。

もし情報提供の制度を把握していないと、「本当であれば無効にできたはずの特許によって他社に優位性を築かれてしまった」という事態も起こり得ます。

日頃から特許制度についての知識をしっかりと収集し、身に着けるようにしましょう。