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特許を早く取得するための「早期審査」とは?

特許についていろいろと調べてみると、「早期審査」という言葉を目にすることがあります。

今回は早期審査がどのようなもので、早期審査がなされることで何を意味するのかについて解説をしていきます。

早期審査とは

早期審査とは、「一定の要件の下、出願人からの申請を受けて審査・審理を通常に比べて早く行う制度」をいいます。

(引用元:https://www.jpo.go.jp/system/patent/shinsa/soki/v3souki.html

早期審査をするときの注意点

「早期審査」という名前からは、手続きさえ行えば、早期に審査をしてもらえるのではないかと思う方もいるかもしれませんが、早期審査を行うには4つの要件をクリアする必要があります。

1.出願審査請求が行われていること

早期審査の申請が可能となるのは出願審査請求時以降です(早期審査の手続きと同時に審査請求を行うこともできます)。

2.以下のいずれかを満たしていること

①中小企業、個人、大学、公的研究機関等の出願である

その発明の出願人の全部又は一部が、中小企業又は個人、大学・短期大学、公的研究機関、TLO などであることをいいます。

②外国関連出願である

対象となる発明が、日本国特許庁以外の特許庁又は政府間機関へも出願していることをいいます。

③実施関連出願である

対象となる発明について実施許諾を受けた人が、その発明を実施している特許出願であることをいいます。

④グリーン関連出願

グリーン発明(省エネ、CO2削減等の効果を有する発明)について特許を受けようとする特許出願であることをいいます。

⑤震災復興支援関連出願

出願人の全部又は一部が、災害救助法の適用される地域に住所又は居所を有する者であって、地震に起因した被害を受けた者である特許出願であるか、又は、出願人が法人であり、当該法人の特定被災地域にある事業所等が地震に起因した被害を受けた場合であって、当該事業所等の事業としてなされた発明又は実施される発明であるものであることをいいます。

⑥アジア拠点化推進法関連出願

出願人の全部又は一部が、特定多国籍企業による研究開発事業の促進に関する特別措置法に基づき認定された研究開発事業計画に従って研究開発事業を行うために特定多国籍企業が設立した国内関係会社であって、該研究開発事業の成果に係る発明に関する特許出願であるものをいいます。

(参照元:https://www.jpo.go.jp/e/system/patent/shinsa/jp-soki/document/index/guideline.pdf

3.特許法第42条第1項の規定により取下げとならないものであること

この要件は特許

この要件は、特許制度についてのある程度の知識が必要な要件で、少し難しいですが、いわゆる「みなし取り下げ」となる案件を早期審査対象案件から除くものです。 前提となる「みなし取り下げ」とは、国際出願が日本国を指定国としている場合や国内出願で優先権主張をしている場合において、当該出願の優先権主張の基礎となっている国内出願は、特許法第42条第1項により出願日から1年4月を経過した時に取り下げられたものとみなす制度のことです。

(参照元:https://www.jpo.go.jp/e/system/patent/shinsa/jp-soki/document/index/guideline.pdf

このようなみなし取下げとなる見込みの案件については、早期審査の申請があっても、早期審査対象案件となることはできません。

4.代理人が弁理士、弁護士又は法定代理人のいずれかに該当すること

早期審査を行うには、これら1~4の要件を充たしている必要があるので注意が必要です。

早期審査に必要な手続き

早期審査に必要な手続きは、通常の出願書類に加えて、「早期審査に関する事情説明書」、早期審理を行うためには「早期審理に関する事情説明書」の提出が必要となっています。

事情説明書には、書誌事項のほか、早期審査または早期審理を申請する事情、先行技術文献の開示及び対比説明などを記載する必要があります。

これらの特許庁に対する手続で通常の審査請求料から追加して料金がかかることはありません。

早期審査の利用実績

早期審査の利用実績は、以下のような推移で件数の増加をみせています。

早期審査が行われた場合、申請から平均3ヶ月以下で審査結果を得られます。通常は9~11ヶ月ほどかかる審査期間が大きく短縮されるということから、その会社にとって重要な特許について利用されることが予想され、競合企業を分析する際に非常に重要な要素となるのではないでしょうか。

(引用元:https://www.jpo.go.jp/system/patent/shinsa/soki/v3souki.html

また、外国関連出願やベンチャー企業による出願であれば、より早く審査結果を得ることができる「スーパー早期審査」という制度もあります。

(スーパー早期審査について:https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/patent/document/index/supersoukisinsa.pdf

まとめ

今回は審査の期間を大きく短縮することができる早期審査について解説をしました。

自社の特許で早く審査結果を得たい場合に利用することを検討してみると共に、他社の特許を分析する際のポイントの一つとして頭の隅においてみてはいかがでしょうか。