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特許権を保有することでのデメリットって?

特許権を保有すると、ライセンス収入の獲得や技術の独占使用など、あらゆるメリットを得られます。一方で特許権を保有することには、いくつか注意すべきデメリットもあります。

今回の記事では、特許権を保有する上で注意すべき4つのデメリットを分かりやすく解説します。特許権の取得を検討している方は必見です。

発明内容が公開されてしまう

最大のデメリットは、発明内容が世間一般に公開されてしまう点です。特許法第64条の規定により、特許の出願から1年6ヶ月が経過したタイミングで、発明の内容が公開されることになっています。

発明した内容が競合他社に知られることで、せっかくコストや労力をかけて開発した発明内容を、競合に模倣されてしまう可能性があります。最終的に特許が認められれば、仮に競合が発明を模倣しても、製品の販売は基本的に独占して行えるので問題ありません。

しかし、出願したからと言って必ずしも特許権が認められるとは限りません。万が一特許の出願が却下された場合には、ただ単に発明を競合他社に知らせるだけという結果に終わります。その結果、頑張って開発した発明を独占的に活用できず、競合に模倣されることで利益を得られなくなります。

そうした事態を回避する目的で、あえて特許権を保有しないという戦略も有効です。特許権を取得しなければ、自社の発明を競合他社に知られずに済むため、独占的に製品を販売し続けることが可能となります。競合他社に発明内容を知られるリスクを何としても回避したい場合は、特許権を保有しないという選択肢も視野に入れましょう。

特許権の存続期間を超えると誰でも発明内容を使えるようになってしまう

特許権を保有する2つ目のデメリットは、特許権が永久的に続くわけではない点です。

特許法第67条では、特許権の存続期間を「特許出願の日から20年」としています。ただし、医薬品や農薬などの行政庁の許可を得るまでに時間がかかるものに関しては、5年を限度として延長することが認められます。

一部の例外はあるものの、特許出願の日から20年を過ぎると、誰でも特許を得ていた技術や発明を自由に利用できるようになります。つまり、20年経つと独占的に特許が設定された製品を独占的に販売できなくなるわけです。

しばしば特許権は、一度得たら永続的に製品を独占的に販売ができ、ライセンス収入を得られる権利と誤解されています。しかし実際は、独占的に技術を活用できるのは20年間に限定されているため、永続的にメリットを得られるわけではありません。

したがって、20年の間に他の特許技術を開発するなどして、事業を存続する方法を模索しておくことが大切です。

特許権を保有するまでに時間と費用がかかる

そもそも特許権を保有するには、多大な時間や費用がかかり、それが大きなデメリットとなり得ます。

特許権を保有するに至るまでは、出願から始まり方式審査や実体審査、特許査定、設定登録など、あらゆる手続きを経なくてはいけません。そのため、特許権の保有には早くても半年〜2年ほどかかります。場合によっては、5年前後もの長い時間がかかるケースもあります。思い立ってすぐに特許権を取得し、独占的に製品を販売できるわけではないため注意が必要です。

また、特許権を取得するには、特許料を特許庁に支払わなくてはいけません。加えて、特許権の取得を弁理士などの専門家に依頼する際には、手数料もかかります。こうした費用をすべて合計すると、数万円から数十万円にも及びます。特許権の保有を目指す場合は、あらかじめ必要な予算を確保しておきましょう。

日本の特許内容は海外では適用されない

経済のグローバル化が進行する昨今は、日本の特許権が海外では適用されない点もデメリットとなります。日本の特許権は、あくまで国内の特許法によって保証されています。そのため、国内法が適用されない海外諸国では、日本で獲得した特許権は効力を持ちません。

そのため、自社の保有する特許技術を使って海外で製品を販売されたり、海外で特許を取得したりする企業が出てくるリスクが考えられます。万が一そのような事態が生じた場合、海外進出時に製品を自由に販売できなくなる恐れがあります。この点は、意外と見落としがちなデメリットなので注意しなくてはいけません。

対策としては、海外進出を図る相手国でも特許権を申請するしかありません。海外進出する予定がある場合は、その相手国でも早めに特許権の申請を行っておきましょう。

特許権を保有することでのデメリット:まとめ

特許権をめぐってはメリットばかりが注目されがちですが、今回お伝えしたようにデメリットもあります。特に、発明内容が公開されるデメリットは、自社の利益を大きく損ねる部分でもあるため、十分に注意しなくてはいけません。

メリットばかりに目を向けるのではなく、デメリットも考慮した上で、特許権を保有するかどうか判断しましょう。

参考:特許法 e-gov