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特許の明細書の読み方とは?新規事業のためのアイデア出しに使う方法も解説

特許に関係する業務をやっていると「明細書」という言葉を頻繁に目にすることがあると思います。

今回は特許の明細書とは何かについて解説していきます。

特許出願に必要な書類

特許法に定められている必要書類

特許を出願するにあたって必要な書類は特許法に規定されています。特許法 36条によると、「願書」「特許請求の範囲」「明細書」「要約書」「図面」の5つの書類の提出が要求されています。

特許法 第36条(特許出願)
特許を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した願書を特許庁長官に提出しなければならない。
     一 特許出願人の氏名又は名称及び住所又は居所
     二 発明者の氏名及び住所又は居所
2 願書には、明細書、特許請求の範囲、必要な図面及び要約書を添付しなければならない。
(略)

書式の具体的な記載方法についてはこちらをご覧ください。https://faq.inpit.go.jp/industrial/faq/search/result/10405.html

記載する内容について

そしてこの第36条の第3項に明細書についての定めがあります。

3 前項の明細書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 発明の名称
二 図面の簡単な説明
三 発明の詳細な説明

明細書には発明の名称のみならず、詳細や図面についての説明が記載されています。

同じ分野の人が分かる程度に書く

さらに、第4項には「発明の詳細な説明は、請求項に係る発明について、当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されていなければならない。」という旨の規定があります。

4 前項第三号の発明の詳細な説明の記載は、次の各号に適合するものでなければならない。
一 経済産業省令で定めるところにより、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであること。
二 その発明に関連する文献公知発明(第二十九条第一項第三号に掲げる発明をいう。以下この号において同じ。)のうち、特許を受けようとする者が特許出願の時に知つているものがあるときは、その文献公知発明が記載された刊行物の名称その他のその文献公知発明に関する情報の所在を記載したものであること。

つまり、少なくともその特許と同じ分野において通常有する知識がある人が明細書を読むことで、その発明を実施することができるということになります。

明細書はどう読むか

では、「明細書」をどのように見ていくかという点ですが、

そもそも、特許の権利範囲である「請求の範囲」に記載されている記載事項は明細書に記載されている内容を考慮したうえで解釈されます。

このことから、その特許の権利がどのような構成となっているかを知るのに役立ちます。

そして、明細書には、

【背景技術】

【発明が解決しようとする課題】

【課題を解決するための手段】

【発明の効果】

【発明を実施するための形態】

【図面】

などが記載されています。

これらは特許を理解するために必要な事項であるため、まずはここに目を通すことをおすすめします。

明細書の情報は、新規事業創出のアイデア出しに使える

明細書は、発明の理解だけではなく、その特許を出願した企業が、どのようなところに課題があると感じており、それに対してどのような解決をしようと考えているかを読み取ることができます。

こういった情報をキャッチアップしたい場合は上記のうち、

【発明が解決しようとする課題】

【課題を解決するための手段】

がとくに有用です。

たとえば、以下の特許を見てください。

この特許は「株式会社SUBARU」の自動運転に関する特許です。

以下の「発明説明」というタブから、この特許がどのような背景のもと出願され、どのような課題を感じ、どのようにしてその課題を解決しようとするものかを読み取ってみてください。

※「明細書」は発明の説明といえるため、こちらのサイトでは「発明説明」と記載されています。

まとめ

特許情報は単なる権利範囲の記載ではなく、ビジネスのヒントとなるような情報が記載されています。特許は国内だけでも年間30万件近くの出願がされています。このリッチな情報をぜひ活用してみてください。